中国市場のコラボレーション 5つの切り口
現在の中国社会は競争が激しいため、新市場開拓は非常に重要です。2023年の中国はブランド間のコラボレーションが盛んで、ほぼ毎週新たなコラボが発表されています。
今回は現在中国で注目されている5つのコラボレーション手法をご紹介しましょう。
有名人とのコラボ
有名人とのコラボは、有名人との共同商品を開発し、その人物の知名度とブランドイメージを一気に向上させる効果があります。長期的に見れば、有名人の良好なイメージがブランドの知名度向上にも寄与します。また、一般的にブランドは自分たちの業界に関連する有名人とのコラボを選びがちです。例えば、スポーツブランドはアスリートを、ファッションブランドはエンターテイメントの有名人を、消費財ブランドは人気タレントとコラボする傾向にあります。
コラボの方法としては、基本的には有名人の肖像を商品に印刷し、特定の商品とその有名人の関連商品を組み合わせてギフトボックスとして提供されます。これらの有名人とのコラボ商品は、多くのファンから熱狂的に収集される傾向があります。ただ、有名人とのコラボは高額な費用がかかるため、十分な予算を持つ大企業だけが手がけることができます。
IPコラボ
IPコラボは、映画やドラマ、ゲーム、クリエイティブコンテンツなど、様々なカテゴリーに分けられます。特に、日本のアニメのIPは、中国の茶飲料市場での受け入れが良好です。 今年の夏には、中国の人気茶飲料ブランド「奈雪の茶」が日本のアニメ「カードキャプターさくら」とコラボレーションを行いました。コラボ商品は発売当日の1時間以内に全国的に売り切れるほどの大盛況でした。
また、「ラッキンコーヒー」と「ジョジョの奇妙な冒険」や「ドラえもん」とのコラボが中国のZ世代を中心に話題となり、ラッキンコーヒーは現在、中国のZ世代に愛されるトップのコーヒーブランドとなっています。
さらに、最近ヒットした映画「バービー」は「ピンク消費」というトレンドを引っ張りました。バーガーキング、ナイキ、Xbox、NYX、無印良品、Crocsなどの消費財ブランドも共同商品や関連商品を展開しています。
IPコラボは現在の企業マーケティングにとって欠かせない要素ですが、最も重要なのはターゲット層の好みに合ったIPを選ぶことです。そうすることで、1+1が2を超えるマーケティング効果を生むことができます。
新旧ブランドのコラボ
長い歴史を持つ企業は、若返りや新たな活力を求める一方で、新しく誕生したブランドは、企業の理念やコンセプトを深化させる必要があります。最近話題となったラッキンコーヒーと茅台酒のコラボは、その好例です。
ラッキンコーヒーは、茅台酒との提携を通じて、低価格市場に進出すると同時に、より高級なビジネス市場へのアプローチも可能となります。
一方、茅台酒はラッキンコーヒーとの連携で、若い消費者層を獲得することができます。
今回のコラボでは「醤油ラテ」を展開するに当たり、お互いが持つ強烈なソーシャル要素と話題性を持つ商品が双方に良い影響を与えました。
動画で解説:中国最高級酒マオタイとラッキンコーヒーがコラボ、発売初日で売り上げ1億元!
トラフィックコラボ(話題型コラボ)
トラフィックコラボの前提として、両ブランドが話題性を持ち、トラフィックを連動しやすい存在であることが求められます。しかし、この前提条件を満たしていなくても、企業自身で話題を創出することは可能です。
火鍋ブランド「小龙坎(Xiaolongkan)」と冷酸灵は、「火鍋味の歯磨き粉」を共同開発。特に唐辛子成分を追加し、中辛、微辛、超辛の3つのレベルで「究極の刺激」を感じる歯磨き体験をアピールしました。火鍋の辛さと歯磨きジェルの清涼感がもたらす対照的な感覚は、若者の好奇心を引き付けることに成功しました。
これらのコラボ戦略は、主にトラフィックの獲得を目的に行われ、短期間でのブランド露出の急増や、大型キャンペーンの前段階での話題作りを通じて、ブランドの知名度や売上の向上に寄与する施策となります。茶飲料ブランドの喜茶と高級ブランドFENDIのコラボも、このトラフィックコラボの一例として人気があります。
ライフスタイル融合コラボ
新しい消費時代において、消費者は単に商品を購入するだけでなく、ブランドが背負う価値観やライフスタイルを重視しています。
日本のライフスタイルブランド「Niko and」は、中国のブランドとのコラボを通じて新しいライフスタイルを提案しました。 2020年に上海での1号店を開店し、Niko andは正式に中国市場へと足を踏み入れました。
その後、上海の2号店や「niko and 南京西路 in point」もオープン。初日には1万人以上の来店者を迎え、大変な盛況となりました。
独自のライフスタイルを提案する「Niko and」は、コラボマーケティングにも長けています。 今年の6月初め、夏の訪れとともに、「niko and」は中国のトップレコード店および音楽文化ブランド「fruity SHOP」とのコラボレーションプロジェクトを発表。さまざまなカラーとレトロスタイルの組み合わせを取り入れ、期間限定のポップアップブースを店舗に設置しました。
コラボの期間中、「niko and」の店舗は一新され、レコードクラブとして、新しい音楽トレンドを取り入れたライフスタイルをアピールしました。
まとめ
このように自社の特徴やイメージを中国市場の文脈に乗せることができれば、認知度を多く獲得できる質の高いコラボレーションが実現できます。
ベクトルチャイナでは企業毎の特徴を踏まえたコラボレーション企画のご提案もできますので、もし中国市場での認知拡大を検討されておりましたらお気軽にご相談下さい。